抄録
79歳男.体幹・四肢の落屑性紅斑,全身倦怠感,筋力低下を主訴に当科を受診した.血液検査では,CK 13366 U/ℓ, アルドラーゼ 36.0 U/ℓと上昇していた.CTにて肺腫瘍,胸膜転移,縦隔リンパ節転移,肝転移が見られた.針生検にて扁平上皮癌と確定した.筋生検では筋線維への炎症細胞浸潤は見られなかったが,MRI所見から筋炎の存在が示唆された.以上の所見から悪性腫瘍合併皮膚筋炎(dermatomyositis: DM)と診断した.プレドニン60 mg/日より内服開始した.皮疹は改善したが筋力障害は遷延し,嚥下障害も出現した.肺癌に対して化学療法施行するも効果に乏しく,初診から約2ヶ月後,永眠された.本症例は悪性腫瘍合併DMのマーカーである抗TIF1抗体が陽性であった.DMに合併する悪性腫瘍の多くは,DM発症後に発見されているため,抗TIF1抗体測定は悪性腫瘍発症リスクを予測する上で有益である.