日本臨床皮膚科医会雑誌
Online ISSN : 1882-272X
Print ISSN : 1349-7758
ISSN-L : 1349-7758
論文
Brooke-Spiegler症候群の1例
戸張 華緒澤田 美月出来尾 格石崎 純子田中 勝藤林 真理子久保 亮治椎山 理恵佐々木 貴史
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 35 巻 1 号 p. 74-78

詳細
抄録
 55歳女.初診の2年前から前頭部にときに自発痛のある結節を自覚.緩徐に増大し,次第に痛みが強くなってきたため受診した.当科初診時,前頭部正中に大きさ10×8 mm大の表面平滑な淡紅色のドーム状結節あり,ダーモスコピーでは淡紅色の背景に,樹枝状血管が著明であった.またこれとは別に,顔面とくに前額部,鼻唇溝,下顎などに常色米粒大の小結節が密に多発する.毛包に一致せずダーモスコピーでは中央が白色に透見してみえた.前頭部の結節と,下顎の小結節1つをそれぞれ全摘し,病理組織学的にそれぞれ円柱腫と毛包上皮腫と診断した.患者の母,妹,2人の息子と娘に同症状があり,29歳長男の顔面の小結節についても毛包上皮腫と診断した.遺伝子解析を施行し,発端者と長男ともにCYLD遺伝子に変異をみとめ,遺伝形式は常染色体性優性遺伝であった.Brooke-Spiegler症候群は円柱種と多発性毛包上皮腫の合併,家族内発症を特徴とし,女性に浸透性が高い疾患である.悪性腫瘍も生じる可能性があり積極的な精査が必要である.
著者関連情報
© 2018 日本臨床皮膚科医会
前の記事
feedback
Top