日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
乳癌術前化学療法および全摘術後に生じた多発性汗孔腫の1例
伊藤 李奈小松 広彦小渕 英里梅垣 知子石崎 純子平野 明田中 勝
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2022 年 39 巻 4 号 p. 572-577

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抄録
症例は55歳,女性.43歳時に乳癌に対して,エピルビシンとシクロフォスファミド,パクリタキセルを用いた化学療法と全摘術後にホルモン治療を受けた.以後再発はなく経過観察されていた.45歳頃より体幹,四肢に紅色の小結節が出現し,多発した.初診時,体幹,四肢に約5 ㎜の鮮紅色小結節が36個多発していた.ダーモスコピーでいずれも糸球体状血管と淡紅白色の脱色素ネットワークを呈し,病理所見と併せて多発性汗孔腫と診断した.その後,皮疹の増大,新生はない.残存病変については増大傾向のあるものは,切除する方針とし経過観察中である.近年,悪性腫瘍の治療後に汗孔腫が多発する報告が増えている.その大多数が悪性リンパ腫,白血病などの造血性腫瘍に伴うものであり,固形癌単独の報告は少ない.汗孔腫は掌蹠が好発部位とされるが,自験例では掌蹠に皮疹を欠いていた.汗孔腫の診断にはその特徴的なダーモスコピー所見が役立つが,特に多発例においては非侵襲性検査として極めて有用である.
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© 2022 日本臨床皮膚科医会
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