日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
脱色剤の不適切な使用による皮膚障害の4例
井上 雄二
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2023 年 40 巻 2 号 p. 165-169

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抄録
脱色剤の不適切な使用によって起こった皮膚障害を4例経験した.症例は,20歳女性,25歳女性,19歳男性,20歳女性で,全例が同じ製品を眉毛部に使用した後に紅斑およびびらんを生じた.2019年12月に国民生活センターより「除毛剤の使用による顔などの皮膚障害に注意!」と除毛剤への注意喚起が行われ,さらに,2021年には厚生労働省より「染毛剤,脱色剤および脱染剤の使用上の注意について」と染毛剤・脱色剤への注意喚起がなされた.その後も染毛剤や除毛剤による皮膚障害の報告が絶えないことより,2022年7月現在,日本臨床皮膚科医会は厚生労働省と協力して除毛剤による皮膚障害の症例を集積している.ただし,脱色剤による皮膚障害はその対象とはなっていない.その理由は,脱色剤による皮膚障害の報告がほとんどなく,危険性が認識されていないためではないかと考えられる.今回の4例は,何れも使用上の注意に記載されている使用法を守らなかった故に生じた脱色剤による皮膚障害であった.脱色剤は比較的簡単に購入することができる医薬部外品であるが,使用法を間違うとアルカリ熱傷を生じる可能性のあるもので,除毛剤や染毛剤同様に注意して適正使用すべきであるという啓発が必要である.
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© 2023 日本臨床皮膚科医会
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