日本視能訓練士協会誌
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一般講演
先天眼振のある小児を対象としたHE-2000の使用経験
長屋 佑依新山 由衣春日井 めぐみ田中 友理中野 裕太安田 小百合
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2023 年 53 巻 p. 125-130

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抄録

【目的】トーメーコーポレーション社製 網膜電位計皮膚電極ERG HE-2000(以下HE-2000)は、両眼同時にERGを記録することが可能な最新型の機器である。今回我々は先天眼振のある小児からHE-2000を用いてERGを記録したので、その有用性について報告する。

【対象及び方法】対象は2021年6月から7月までの間に、あいち小児保健医療総合センター眼科外来を受診した先天眼振のある小児10例20眼とした。全ての症例に散瞳下で暗順応を20分間行った後にRod ERG、Flash ERGを記録し、続けて明順応を10分間行った後にCone ERG、Flicker ERGを記録した。各記録条件に典型的な波形が記録されているかを医師が判定した。

【結果】検査の記録可能率はRod ERGとFlash ERGで10例20眼(100%)、Cone ERGとFlicker ERGで9例18眼(90%)であった。光刺激に対して羞明を訴え開瞼が困難となった症例が2例あったが、そのうち1例は声掛けをしながら安定した結果を得られた。

【考按】HE-2000は先天眼振を伴う小児においても高い確率でERGを記録することができ、網膜機能の評価に有用であることが示唆された。さらに、安定した結果を得るためには検者が年齢と発達に応じた説明を丁寧に行い、小児の緊張を緩和させることが重要であると考えられた。

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© 2023 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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