2023 年 53 巻 p. 119-124
【目的】処方眼鏡でのレンズひずみの発生割合と程度による装用感を調べる。
【対象および方法】当院の処方箋により作製された眼鏡で、作製から1カ月以内に確認のできた190例190人の所持眼鏡におけるレンズひずみの発生割合をニコル法で可視化し、程度分類を行った。レンズひずみ0度から3度に分類された眼鏡所持者へVisual Analog Scale(以下VAS)を用いて装用感を調査した。レンズひずみ3度の症例ではレンズ入れ替えを行い、眼鏡修正前後のVASを比較した。
【結果】レンズひずみ発生割合は、0度56.3%(107例)・1度29.5%(56例)・2度11.1%(21例)・3度3.2%(6例)であった。装用感のVASのスコアは0度90±8.84(中央値±標準偏差)・1度90±9.71・2度59±18.09・3度18±10.11であった。ひずみ3度のレンズ入れ替え前後のVASスコアは18±10.11から修正後72.5±11.16へ有意に改善した。
【考按】眼鏡の装用感はフレームやレンズ、フィッテイングなどにより変化する。今回の調査でレンズひずみが装用感に影響することが示唆された。眼鏡装用感を評価する因子としてレンズひずみを眼科臨床で検査し評価していく必要がある。