2023 年 53 巻 p. 27-33
【目的】ソフトコンタクトレンズ(SCL)の素材が眼球高次収差に及ぼす影響について検討した。
【対象と方法】対象は屈折異常以外の眼疾患がない若年健常SCL常用者43名43眼で、ハイドロゲルコンタクトレンズを使用していた21名21眼(HyCL群)とシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを使用していた22名22眼(SHCL群)を2群に分けた。各群ともSCLは1日使い捨てタイプとし、非球面SCLは対象から除外した。
眼球高次収差の測定にはウェーブフロントアナライザーKR-1W(TOPCON)を使用し、解析瞳孔径4 mmで得られた眼球収差のうち、root mean square(RMS)で表示された全眼球高次収差を解析した。また、ドライアイモードにて10秒間開瞼中の全眼球高次収差を10回連続測定し、その平均値の評価も行った。本研究では各群間のSCL装用前後での眼球高次収差を比較するとともに、HyCL群、SHCL群それぞれのSCL装用前後での眼球高次収差の比較検討も行った。統計はMann-Whitney U 検定及びWilcoxon signed-rank testを用いた。
【結果】群間比較、群内比較ともに眼球高次収差に有意差はなく、ドライアイモードにおける連続測定にても有意差を認めなかった。
【結論】SCLの素材が眼球高次収差に及ぼす影響は少ないことが示唆された。