日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
Print ISSN : 0387-5172
ISSN-L : 0387-5172
空間周波数VEPによる心因性視力障害の鑑別診断
早川 友恵深井 小久子椎原 久美子岡 真由美木村 久
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 22 巻 p. 101-105

詳細
抄録

心因性視力障害と視神経疾患による視力障害の鑑別診断を行うため,空間周波数VEP(Visual Evoked Potential)の有用性を検証した.空間周波数VEPは,5段階の格子縞(0.47,0.94,1.94,3.88,7.76c/d)により誘発した.心因性視力障害7例13眼(自覚的視力:0.06~1.0)は,高周波閾にて高い反応を示した.3.88c/dの格子縞で高い反応を示した例が6/7例であった.視神経炎および視神経萎縮による視力障害は7例13眼(自覚的視力:0.02~0.6)は,低周波閾で良好な反応を残している例と全周波閾で反応が低下している例があったが,いずれも3.88c/dの高周波閾で良好な反応が得られなかった.これらの結果は,心因性視力障害は網膜から視中枢にいたるX細胞系機能に障害がないことを示唆しており,空間周波数VEPは,心因性視力障害の鑑別診断に有用であると考える.

著者関連情報
© 日本視能訓練士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top