日本視能訓練士協会誌
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ハンフリー自動視野計による臨床的経過観察例における初回データの検討
山室 昭子鈴木 佳子斎藤 重子小森 敦子原沢 佳代子鈴村 弘隆遠藤 成美
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1994 年 22 巻 p. 60-65

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抄録

自動視野計が普及し,判定法の理解が深まるにつれて,初回の測定結果は信頼性に疑問があるという意見がある.そこで,経時的に視野測定した例の初回の信頼性について各指標をもとに検討した.
当科受診の患者の中で,ハンフリー自動視野計により中心視野の閾値検査プログラム30-2あるいは24-2を用い,8回以上検査し,臨床的に経過観察した94眼を対象とした.その中で,2回目のbox plotが上昇しており,初回データの信頼性が疑われたものは14眼であった.この14眼の初回データでは信頼性指標のfixation lossesで1眼,global indexのshort-term fluctuationで2眼が異常を示したが,初回の結果のみに異常が表示された例はなかった.従って,初回結果も臨床的な視野判定をする上で,十分な有用性があると思われた.
pattern deviationをみると,初回のbox plotの下がっていた原因の多くは測定点の周辺の感度低下によるものであり,視野異常の有無の判定はpattern deviationで検討することが,より大切であると考えられた.

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