1978 年 27 巻 7 号 p. 425-430
流動パラフィン中の熱酸化において, 各種トコフェロールの反応生成物の量を各種条件下に追求した。生成物の大部分のものは, われわれが既に報告した還元性二量体であった。
180℃における各種トコフェロールの酸化はこん跡程度の二量体を与えたに過ぎないけれども, 150℃において酸化したときには相当量の未反応トコフェロール及び二量体が存在した。しかし, レシチンの存在下における180℃の処理は, 未反応トコフェロール及び二量体の残留割合の顕著な増加をもたらした。そして, トコフェロール及び二量体の安定度はレシチンの濃度が増加するにつれて増加した。これらのことは, レシチンがトコフェロール及び還元性二量体の熱酸化を著しく防止したことを推定させる。
レシチンの保護効果は, トコフェロール及び二量体とレシチンの間の相互作用によって達成されたものと考えられる。