1983 年 32 巻 4 号 p. 213-218
両性界面活性剤存在下で, トリフェニルメタン色素 [クリスタルバイオレット (CV)] のアルカリ溶液中における退色速度をCV色素の可視吸収スペクトルの吸光度 (592nm) の減少から測定した。
両性界面活性剤, N- (2-ヒドロキシドデシル) -N- (2-ヒドロキシエチル) -β-アラニン (HAA) はpH変化により陰イオン型 (C-HAA), 両性イオン型 (Zw-HAA) と陽イオン型 (A-HAA) になり, 同一骨格で荷電状態を変化させることが可能である。
退色速度は偽一次反応で表され, 速度はC-HAA>A-HAA>Zw-HAAの順に低下する。
表面電荷状態がミセル内部または表面で起きる退色速度に影響を与える。電解質添加の影響も調べ, 添加量の増加と共に徐々に退色速度は速くなる。
ミセル内部に可溶化したCVとミセル外部に存在するCV色素の割合を退色速度曲線から計算した。CVの可溶化量は電解質濃度に伴って減少した。