W/O/W型エマルション油膜の破壊の原因となる電解質類存在下で, 安定な試料を調製するための諸条件を検討した。タンパク質の保護コロイドとしての効果や, 極性脂質の油膜補強効果を調べた結果, リゾチーム, オクタデシルアミン, オレイン酸等に油膜の破壊速度を減少させる作用が見られたが, 油膜を安定化させる役割は認められない。一方, 転相により自然にW/O/W型分散が生成する現象を利用し, 電解質類存在下で試料の調製を試みた結果, 親水性親油性両乳化剤の適当な量比を各電解質に合わせて検索すれば, 電解質濃度が比較的低い範囲で安定な系が得られる可能性が, 油膜の持続性の観測結果から示唆された。