油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
Penicillium communeの生産するゲンチジルアルコール
その抗酸化性とトコフェロールに対する相乗性
石川 行弘守本 京三浜崎 敞
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1986 年 35 巻 11 号 p. 903-906

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抄録
トコフェロール (Toc) と相乗効果を示す物質をPenicillium communeの培養濾液から分離した。それはフェノール性化合物であり, 元素分析の結果及びスペクトルデータによってgentisyl alcohol (2, 5-ジヒドロキシベンジルアルコール, GA) と同定した。ラードの自動酸化条件下において, GA (0.025%) は優れた抗酸化防止剤であり, Toc (0.04%) とも相乗効果を示し, AOM時間はそれぞれ, 160hと234hであった。また, 大豆油, なたね油, パーム油のような植物油を顕著に安定化させた。GAを添加してもラード中のTocの熱酸化を防止しなかったが, 熱処理したのちのラードのAOM安定性はGAを添加した系のほうが無添加の系より常に高かった。
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© 公益社団法人 日本油化学会
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