抄録
トコフェロール (Toc) と相乗効果を示す物質をPenicillium communeの培養濾液から分離した。それはフェノール性化合物であり, 元素分析の結果及びスペクトルデータによってgentisyl alcohol (2, 5-ジヒドロキシベンジルアルコール, GA) と同定した。ラードの自動酸化条件下において, GA (0.025%) は優れた抗酸化防止剤であり, Toc (0.04%) とも相乗効果を示し, AOM時間はそれぞれ, 160hと234hであった。また, 大豆油, なたね油, パーム油のような植物油を顕著に安定化させた。GAを添加してもラード中のTocの熱酸化を防止しなかったが, 熱処理したのちのラードのAOM安定性はGAを添加した系のほうが無添加の系より常に高かった。