1989 年 38 巻 3 号 p. 224-230
脂質過酸化物のモデルとしてマロンアルデヒド,アルケナール,アルカジエナール,有機ヒドロペルオキシドの混合物のチオバルビツール酸(TBA)反応を4%酢酸中100℃, 20minの条件で行った。アルケナール,アルカジエナールからの赤色色素の生成は他の成分の存在により増強された。すなわち,アルケナールとアルカジエナールの混合や,2種のアルカジエナールの混合は相乗的に赤色色素の生成を増強し,また有機ヒドロペルオキシドの添加は,これらアルデヒドの赤色色素の生成を増強した。これらアルデヒドとTBAの1:1付加中間体がヒドロペルオキシドにより効率よく赤色色素になることが分かった。混合物のTBA反応における赤色色素の量は,マロンアルデヒド量をはるかに上まわるものであった。
以上の結果から,過酸化脂質のTBA反応における赤色色素の生成は,これら成分の相乗効果の寄与が大きいものと考えられる。