油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
酵母無細胞抽出液系による [1-14C] パルミトイルーCoAからのパルミトイル基のピロホスファチジン酸への取り込みについて
須貝 昭彦脇 初枝伊藤 佑子黒沢 則夫金子 弘伊藤 俊洋
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1992 年 41 巻 1 号 p. 11-17

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抄録

Rhodotorula rubm及びSaccharomyces cerevisiaeの無細胞抽出液を用いて, [1-14C] パルミトイル-CoAの放射活性がピロホスファチジン酸及び他のグリセロリン脂質へ取り込まれる様子を調べた。少量の界面活性剤 (Triton X-100) の存在下, pH7.2で, かなりの量の放射活性がピロホスファチジン酸及び他のグリセロリン脂質へ取り込まれることが観察された。
ピロホスファチジン酸に取り込まれた放射活性のほとんどのものが, アシル基部分に分布していた。硝酸銀処理薄層クロマトグラフィーと逆相薄相クロマトグラフィーを組み合わせた実験で, このアシル基はパルミトイル基であることが確認された。このパルミトイル基のほとんどのものが, グリセリン骨格のsn-1位とsn-1'位に分布していた。
これらの結果は, Rh.ruburaとSacch.cerevisiaeの両者の細胞内で, ピロボスファチジン酸のアシル基グループは, 他のグリセロリン脂質のアシル基グループと同様に脱アシル化-再アシル化系で代謝されていることを示唆している。

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