抄録
静脈施設における事故は減少傾向を示しておらず,安全な施設設計・操業が求められている.そこで,筆者らは静脈施設における安全・安心システムの構築目指し,新たな安全性評価手法としてSAD(Safety design Analysis with Database)を提案する.本手法はリスクを確率論的な被害額と定義し,既存のリスクアセスメント手法にはない,施設のリスクを定量的に網羅可能であり,かつ事故・トラブル・ヒヤリハット事例データベースと連携させることで評価を簡便にできるという特長を有する.本稿ではSADによる施設の安全性評価の方法を示すとともに,溶融発電設備を持つ個別施設を対象として,SADを用いた施設の安全性評価を実施し,その結果をATM(Accident Tracing Map)で表示するとともに,安全向上策について検討した.