2021 年 14 巻 2 号 p. 195-198
医療・福祉従事者の腰痛発生には,要介助者の抱え上げや不良姿勢による腰部の生体力学的過負荷に加え,作業条件,作業環境,労働衛生教育等の複数の要因が関与する.しかしながら,我が国においてこれら複数の腰痛発生要因を総合的に評価する方法はない.ISO/TR12296(2012年)では,複合的な腰痛リスクを評価するための手法がいくつか紹介されている.そのなかのMAPO法は,病院や介護施設ごとの総合的な腰痛リスクを算出するとともに,腰痛対策の問題点を抽出することができる.これは我が国の看護・介護の分野においても活用でき,組織的な腰痛対策に取り組む際の動機付けになると考えられる.本稿では原著者より最新版の提供を受け,日本語版MAPOインデックスを作成する機会を得たため,その概要を報告する.