我が国の労働者の「新型コロナワクチンに対する意識」と「新型コロナワクチンを接種する動機づけ」との関連性を 検討することで,職域における新型コロナワクチン接種の推進方法について探る.2020年9月から12月の間に調査を実施した.対象者は36事業場に勤務する労働者で,解析対象者数は2,061名であった.新型コロナワクチンに対する意識に 関する項目は,ヘルスビリーフモデルを参考にして独自に作成し,因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行った.因子分析の結果,「自他の命と健康を守れる」,「費用負担の容認」,「安心して生活ができる」,「安全性への信頼」という 4つの因子が抽出された.「新型コロナワクチン接種への動機づけ」は,「完全に思わない」から「完全に思う」までの9段階で対象者に回答を求め,「やや思う」から「完全に思う」までのワクチン接種に対する肯定的な回答は67.2%であ った.「新型コロナワクチン接種への動機づけ」に関連する因子を探る目的で,重回帰分析を行った.その結果,「自他の 命と健康を守れる」,「費用負担の容認」,「安全性への信頼」という3つの因子が,「新型コロナワクチン接種への動機 づけ」と有意に関連していた.男性は女性よりも新型コロナワクチン接種への動機づけが有意に高かった.これらの心理的な因子や性別の違いを考慮することで,労働者の新型コロナワクチン接種の動機づけを高めることが出来る.
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