労働安全衛生研究
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技術指針 JNIOSH-TR-49:2021「可燃性液体塗料用静電ハンドスプレイ装置の安全要求事項および試験方法」の発行・公開
遠藤 雄大 三浦 崇庄山 瑞季崔 光石
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2023 年 16 巻 1 号 p. 99-102

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抄録

静電塗装は,静電気力(クーロン力)を応用する塗装方法であり,優れた塗着効率等のメリットから,労働現場において広く使用されている.一方で,コロナ帯電式の液体静電塗装では,高電圧(-30 kV ~-60 kV)を使用すること,可燃性液体塗料を一般的に使用することから,異常(着火性)静電気放電等による火災・爆発の危険性がある.これまで国内では,可燃性液体塗料用静電ハンドスプレイ装置の着火に対する安全性能やその定量的評価手段が具体化されておらず,国内の装置メーカーやユーザーは,海外の規格(EN 50050-1:2013)を参考に安全対策を講じる必要があった.このような状況を踏まえて,当所では「可燃性液体塗料用静電ハンドスプレイ装置の安全要求事項および試験方法に関する指針作成委員会」を設置し,国内・国際的な情勢および防爆に関する安全規格などを考慮したほか,当所の研究成果を取り入れた指針原案を作成し,審議の末に成案を得たため,これを基に当所の技術指針(JNIOSH-TR-49:2021)として2022年3月に公表した.本稿では,本指針が対象とするコロナ帯電式液体静電塗装について解説した後,液体静電塗装に関係する火災事例を紹介し,最後に本指針の内容について説明する.

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© 2023 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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