労働安全衛生研究
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調査報告
ロールボックスパレット起因による比較的軽微な労働災害の実態とその特徴
大西 明宏 清水 尚憲
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2012 年 5 巻 2 号 p. 73-77

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抄録
ロールボックスパレット(RBP)は作業の効率化や荷物の損傷防止に貢献する荷役機材である.一方でRBP取扱い作業による手足の負傷が一部の運輸業で頻発していることが報告されているが,不休災害の場合は届出の義務がないため軽微な災害の実態把握に限界がある.しかし軽微な災害全般が把握できると潜在する約10倍のヒヤリ・ハットの見積が可能となることから,RBP取り使い作業における危険要因を包括的に評価する意味において比較的軽微な災害例を検討することは意義深いと言える.そこで本研究は軽微な災害として休業4日未満の4都県における死傷病報告データを用いてRBP起因災害の実態と特徴,未然防止策を検討した.その結果,運輸業が半数以上を占めたが他の業種も約半数に上ること,打撲が半数以上であること等が確認された.またRBP起因災害は4つに類型され,これに85%が該当することがわかった.これら災害防止には手・足部のプロテクターや足指保護の安全靴が有効と考えられるが,その他にも認知度が低いRBPの名称が正しく死傷病報告へ反映される方策,基本的な使用方法を網羅したマニュアル等の整備によるRBP起因災害に特化した教育の充実が求められる.またRBP自体に負傷リスクがあることから,安全な構造への見直しも重要な課題である.
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© 2012 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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