2020 年 40 巻 1 号 p. 22-25
14歳,男性,サッカー部.1ヵ月前から徐々に左膝痛が増強し,安静でも軽快しないため当科を受診した.左膝蓋骨下端に圧痛を認めたが炎症所見・可動域制限は認めなかった.単純X線・CT像では膝蓋骨下端の表層が離開し,関節面は連続しており,離開部周囲に仮骨形成像を認めた.膝蓋骨疲労骨折と診断し保存加療を開始し,元のスポーツレベルには約3ヵ月で復帰した.現在も再発なくサッカーを継続している.
本症例は明らかな外傷がなく活動性が高かった.また,膝蓋骨下端の湾曲や膝蓋骨高位といった膝屈曲時に膝蓋骨表層に応力が集中しやすい解剖学的特徴を有していた.本症例のように成長期にも疲労骨折が生じることを念頭に入れておくべきである.