日本整形外科スポーツ医学会雑誌
Online ISSN : 2435-5828
Print ISSN : 1340-8577
40 巻, 1 号
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  • 殿谷 一朗, 林 二三男, 鶴尾 吉宏, 西良 浩一
    2020 年 40 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    前内果動脈は前脛骨筋腱の下を通って足関節付近の前方を内側に横走するが,このような前脛骨動脈の枝にも足関節鏡手術の際の動脈損傷による仮性動脈瘤は起こりうる.今回,前内果動脈の分岐レベルをfresh cadaver 14例14足で評価した.前内果動脈の前脛骨動脈からの分岐レベルは足関節裂隙線が35.7%,足関節裂隙線より遠位レベルで分岐が50.0%,近位レベルで分岐が7.1%であった.本研究にて前内果動脈の前脛骨動脈からの分岐レベルが明らかとなり,症例によっては足関節鏡を施行する際は前内果動脈にも注意を払わなければならないことが示唆された.

  • 蒲田 久典, 辰村 正紀, 奥脇 駿, 松浦 智史, 猪股 兼人, 山崎 正志
    2020 年 40 巻 1 号 p. 6-11
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    学童期腰椎分離症患者の保存治療における治癒阻害因子を検討した.初診時12歳以下の新鮮腰椎分離症患者19例27分離を対象とした.14例20分離74.1%で骨癒合を得た.骨癒合率は分離前期100%,初期69.2%,進行期75.0%だった.片側・両側の骨癒合率は,片側が100%,両側が63.2%であった.対側偽関節は3例3分離に認め,すべて偽関節化した.潜在性二分脊椎(spina bifida occulta;SBO)は17例89.5%に認め,とくにS1のSBOは16例84.2%に認めた.偽関節化した5例7分離は全例で罹患高位はL5で,両側分離,S1のSBOを認めた.学童期腰椎分離症において,対側偽関節は治癒阻害因子であり,L5分離の治癒阻害因子とされるS1のSBO保有率が高いため注意が必要である.

  • 横田 尚子, 中川 泰彰, 向井 章悟, 井上 直人, 木下 和昭
    2020 年 40 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    われわれは,K県軟式野球選手に対して野球検診を実施しており,検診の結果,下肢ストレッチ要と『野球健康手帳』に記載された選手の1年後の検診結果,障害が疑われた選手と疑われなかった選手の下肢柔軟性の変化を調査した.

    2016年の検診でストレッチングが必要と判定され,2017年の検診で二次検診が必要と判断された 7名と異常のない22名を比較した.結果,ストレッチングの必要性を伝えたことで柔軟性向上が認められたが,新たに障害を疑われた群は,投球側,非投球側ともに下肢伸展挙上テスト(SLR)の柔軟性に変化が認められなかった.SLRに反映されるハムストリングスの柔軟性低下は,小学生軟式野球選手の障害発生と関連があることが示唆された.

  • 池尻 正樹, 林 宏治, 田中 康仁
    2020 年 40 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    ダンサーにおける足部の障害は数多く報告されるが,第5趾鉤爪趾変形の報告はまれであり,手術を行なった報告は渉猟しえた範囲では認めなかった.今回,プロダンサーの両側有痛性第5趾鉤爪趾変形に対して長趾屈筋腱背側移行術を行なった.術後10週でスポーツ復帰が可能となり,JSSF lesser scaleとSAFE-Qにおいても改善を認めた.本症例の鉤爪趾変形は徒手整復可能な拘縮であったため,骨切り術ではなく腱移行術を行なうことでパフォーマンスレベルを落とすことなく症状が改善し,早期競技復帰を可能にしたと考えられた.

  • 塚田 直紀, 岡橋孝治郎 , 松井 智裕, 稲垣 有佐, 小川 宗宏, 田中 康仁
    2020 年 40 巻 1 号 p. 22-25
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    14歳,男性,サッカー部.1ヵ月前から徐々に左膝痛が増強し,安静でも軽快しないため当科を受診した.左膝蓋骨下端に圧痛を認めたが炎症所見・可動域制限は認めなかった.単純X線・CT像では膝蓋骨下端の表層が離開し,関節面は連続しており,離開部周囲に仮骨形成像を認めた.膝蓋骨疲労骨折と診断し保存加療を開始し,元のスポーツレベルには約3ヵ月で復帰した.現在も再発なくサッカーを継続している.

    本症例は明らかな外傷がなく活動性が高かった.また,膝蓋骨下端の湾曲や膝蓋骨高位といった膝屈曲時に膝蓋骨表層に応力が集中しやすい解剖学的特徴を有していた.本症例のように成長期にも疲労骨折が生じることを念頭に入れておくべきである.

  • 井上 直人, 中川 泰彰, 向井 章悟, 横田 尚子, 橋本 雅至, 木下 和昭
    2020 年 40 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    投球障害発生の原因として体幹筋機能の低下はその一要因としての報告がみられる.今回,小学生軟式野球選手が投球障害肘を発症したとき,われわれが体幹筋機能検査として採用しているSide Bridge testの変化を調査した.

    過去1年以内に投球側の肘関節に障害の経験がない小学5年生54名を対象とし,Side Bridge testの1年の変化を調査した.結果,新たに投球障害肘を発症した選手は,投球側のみSide Bridge testの向上が認められなかった.成長に伴い体幹筋機能の向上が認められない場合,小学生軟式野球選手の投球障害肘発生に影響を与えている可能性が示唆された.

  • 森上 太郎, 大久保 雄, 西川 拓也, 上林 和磨, 乙戸 崇寛, 赤坂 清和
    2020 年 40 巻 1 号 p. 30-36
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    目的:異なる頚部および上肢角度にてDraw-inを行なった際の腹部筋活動を超音波画像装置や表面筋電計を用いて評価し,腹部深部筋の賦活化に有効な肢位を検証すること.対象:健常成人男性22人.方法:頚部肢位4通り,上肢肢位3通りを組み合わせて12通りの肢位でDraw-inを行ない,腹筋群の筋形態および筋活動の変化を各肢位で比較した.結果:頚自動屈曲では腹直筋,外腹斜筋の活動量が増加および腹横筋の筋厚が低下し,上肢挙上位では外腹斜筋の活動量が増加した.結論:頚自動屈曲あるいは上肢挙上させることで腹部表層筋の活動量が増加することから,腹横筋の選択的収縮には頚部および上肢を中間位で安静にさせることが有用であることが示唆された.

  • 麻生 邦一, 内田 和宏, 岡崎 啓治, 近藤 稔
    2020 年 40 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対して,鋼線締結法による離断部接合術を行なった33症例,33肘の成績を調査した.離断部の癒合は29肘(87.9%)に成功し,4肘が不成功であった.術後のX線評価(岩堀分類)でも,Excellent(完全修復):17肘(51.5%),Good(一部不整,扁平化):11肘(33.3%),Fair(一部癒合不全):1肘,Poor(重度癒合不全):4肘と28肘(84.8%)に良好な成績が得られた.離断部が不安定で,骨釘固定術では固定力が弱いとされる分離期後期の症例によい適応がある.一方,離断部の軟骨が傷んでいる場合,離断部に骨組織の残存がほとんどない場合には,離断部接合術の適応外と考える.

  • 鶴田 敏幸, 井上 美帆
    2020 年 40 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    目的:若年者スポーツ選手のキーンベック病について自験例を後ろ向きに調査し,治療方針を検討した.

    対象と方法:対象はスポーツが原因と考えられた14例16手,初診時年齢は平均16.8歳であった.治療法と競技復帰の有無をカルテより収集し,初診時X線像から橈骨遠位骨端線閉鎖前・後に分けて検討した.

    結果:骨端線閉鎖前群は10例12手で全例競技復帰し,治療成績もExcellentであった.閉鎖後群は4例4手で3例が競技復帰し,Excellent 1例,Good 1例,Fair 2例であった.

    考察:本病では14歳以下は自己修復力や可塑性が強いとされ,自験例も骨端線閉鎖前群の予後は良好だった.骨端線閉鎖後群は病期が進行した症例が多く,競技復帰率も下がると考えられた.

  • 大西 純二
    2020 年 40 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    脛骨・腓骨の疾走型,跳躍型疲労骨折の概念は不明瞭なところがある.純粋な疾走型である陸上長距離選手の脛骨,腓骨の疲労骨折を検討し従来の概念の検証を行なった.脛骨はほとんどが疾走型であった.発生高位は従来近位1/3と遠位1/3に好発するといわれていたが,実際は近位から遠位まで中央1/3を含め広く発生していた.腓骨疲労骨折は跳躍型が近位1/3,疾走型は遠位1/3に好発するといわれてきたが,疾走型でも近位に18%発生していた.遠位例を含め全例骨形成型で難治例はほとんどなく,近位例と遠位例に特徴の差はなかった.腓骨近位例は脛骨の跳躍型とは特徴の異なるもので,腓骨は疾走型・跳躍型の区別は不要と思われた.

  • 藤巻 良昌, 塩谷 英司, 齊藤 佑樹, 雨宮 雷太, 栗山 節郎, 稲垣 克記
    2020 年 40 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    昭和大学医学部整形外科学講座では,昭和32年より新潟県石打丸山スキー場において冬季診療所を開設しスキー・スノーボード外傷の診療にあたってきた.過去60シーズンの受傷患者統計を示す.受傷率の低下により入場者数の減少以上に受診患者数は減少しており,近年の受傷率は1,000人あたり約1.4人である.スキー外傷の受傷部位は下肢に多く全体の7割をしめるが,その内訳は年を経るにつれ変化してきている.足関節周囲の骨折および捻挫は減少している一方,膝関節周囲の外傷,とくに捻挫/靱帯損傷の比率が高まっている.足関節周囲外傷の減少はスキーブーツおよびビンディングの発展の功績であるが,今後は膝関節損傷への対策が望まれる.

  • 奥脇 透, 中嶋 耕平, 半谷 美夏, 福田 直子
    2020 年 40 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    肉ばなれのMRI分類を半膜様筋にて検討した.急性期の半膜様筋肉ばなれ113例で,まず3つの損傷型,Ⅰ型(筋線維部),Ⅱ型(腱膜部),Ⅲ型(起始部)に分けた.次に最大損傷部の横断像から,わずかな損傷を1度,部分断裂を2度,完全断裂を3度とし,105例でスポーツ復帰時期との関係を調べた.結果は,Ⅰ型7例(1度3例,2度4例),Ⅱ型67例(1度24例,2度24例,3度19例),Ⅲ型39例(1度10例,2度15例,3度14例)であった.復帰時期はⅠ型2.0週,Ⅱ型5.2週(1度2.2週,2度5.7週,3度8.7週),Ⅲ型15.0週(1度3.6週,2度16.6週,3度22.3週)で,それぞれに有意な差を認めた.肉ばなれのMRI分類は,半膜様筋において重症度の評価に有用である.

  • 廣瀬 友彦, 川﨑 浩二郎, 伊坂 陽
    2020 年 40 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    2009~2017年までに当院で髄内スクリュー固定術を行なったいわゆるJones骨折症例13例13足について術後成績を検討した.スポーツ復帰までの期間は術後平均13.2週であり,骨癒合までの期間は平均12.1週であった.合併症として遷延癒合を1例に認め,スポーツ復帰に半年以上を要した.1例にドリリングの際の熱傷による創治癒遅延を認めた.手術のコツとして,体位を側臥位とすることや,必要に応じて皮切を延長し刺入部を十分に確認することが重要と思われた.

  • 松浦 智史, 辰村 正紀, 小川 健, 万本 健生, 平野 篤, 山崎 正志
    2020 年 40 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    腰椎分離症を検出する画像検査方法として単純X線斜位像のScottie dog signがあるが,分離部の間隙距離が小さい場合は感度が低いとされる.しかし,具体的な間隙距離に関する報告は渉猟しえない.終末期両側腰椎分離症患者のScottie dog signとCT画像矢状断での分離部の間隙距離の関連性を調査した.

    当院初診時,終末期両側腰椎分離症に至っていた42名84分離を対象とし,Scottie dog sign陽性のP群と陰性のN群に分類した.2群におけるCT画像矢状断での分離部の間隙距離の平均値を,t検定を用いて比較した.

    P群とN群の間隙距離はそれぞれ2.82±1.06 mmと1.64±1.16 mmで有意差を認めた.Scottie dog sign陰性例では分離部の間隙距離が小さかったが,大きくてもScottie dog signが陰性となる例も存在していた.

  • 仙石 拓也, 中瀬 順介, 下崎 研吾, 浅井 一希, 土屋 弘行
    2020 年 40 巻 1 号 p. 78-83
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    慢性足関節不安定症(CAI)を有する高校サッカー選手の片脚着地動作の特徴を調査した.男子高校サッカー部82名から,CAI群8名,捻挫なし群11名を抽出し,Cumberland Ankle Instability Tool(CAIT)を用いた調査,および三次元動作解析装置を用いた片脚着地動作の評価を行ない群間で比較した.CAI群はBMIが高く,CAITは低かった.動作解析では,関節角度,モーメントに差は認めなかった.しかし,股関節屈曲,膝関節内反角度が小さく,骨盤前傾角度が大きい傾向を認めた.本研究結果より,CAIを有するサッカー選手の片脚着地動作は,膝関節による代償が生じる可能性が考えられた.

  • 山梨 裕貴, 絹笠 友則, 佐藤 祐希, 渡辺 新, 六崎 裕高, 池田 耕太郎
    2020 年 40 巻 1 号 p. 84-87
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
    ジャーナル 認証あり

    目的:受傷後3週以内に施行した前十字靱帯再建術の有用性と合併症の検討.

    対象と方法:2012年4月から2017年6月に,Tegner activity level 5以上でハムストリング腱による1重束再建術を施行した86例.受傷後3週以内の再建例(早期群)が36例,受傷後3週での再建例(待機群)が50例.術後1ヵ月,3ヵ月,1年の可動域,術後3ヵ月,6ヵ月の筋力健患比,膝安定性,受傷後運動復帰期間,合併症(再断裂,授動術施行)を評価した.

    結果:早期群では術後1ヵ月まで屈曲可動域低下を認めたが,受傷後平均復帰時期は早かった.術後3ヵ月以降の可動域,筋力,合併症発生率に有意差は認めなかった.

    考察:早期群と待機群で術後3ヵ月以降同等の術後成績が得られた.早期群では待機期間程度の早期競技復帰が可能であった.

  • 五嶋 謙一
    2020 年 40 巻 1 号 p. 88-92
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    目的:中高年におけるOpen wedge高位脛骨骨切り術(OWHTO)後のスポーツ・レクリエーショナル活動に関して検討した.

    方法:2005年~2016年までにTomoFix®を用いたOWHTOを施行し術前にスポーツ活動を行ない,年齢が40歳以上の52例61膝(手術時平均年齢61.1歳)を対象とした.術前後のスポーツ・レクリエーショナル活動の種類,復帰時期,Tegner activity score,JOA score,Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score(KOOS)を評価した.

    結果:スポーツ・レクリエーショナル活動の種類はlow impact sportsが42例(81%)に対しhigh impact sportsは10例(19%)であった.全例,スポーツに復帰し,復帰時期は平均9.5ヵ月であった.Tegner activity scoreは変化なかったが,JOA score,KOOSともに術後有意に改善した.

    結論:中高年におけるOWHTO術後のスポーツ・レクリエーショナル活動への復帰は良好であった.

  • 福田 亜紀, 西村 明展, 加藤 公
    2020 年 40 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
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    三重県代表国体選手におけるサプリメント・医薬品の使用実態を調査するためにアンケート調査を施行した.サプリメント使用率は35.8%であり,サプリメントは安全と考えている,サプリメント使用に肯定的な選手はそれぞれ63.8%,42.2%であった.薬やサプリメントの成分確認をしている,医師や薬剤師などにドーピング検査対象者であると自己申告している選手はそれぞれ42.6%,31.8%であり,少年選手で有意に低かった.体調悪化時に常備薬などを使用する選手は33.2%であり,成年選手で有意に低かった.国体選手に対するサプリメントおよび医薬品の適正使用に関する教育・啓発活動の強化が必要である.

  • 津島 愛子, 三村 由香里, 林 正典
    2020 年 40 巻 1 号 p. 98-104
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,小学5年生に対する10ヵ月の静的ストレッチングがOsgood-Schlatter病(OSD)の罹患率に与える影響について調査することを目的とした.OSDの既往がない小学生5年生を対象とし,静的ストレッチングプログラム実施群(SS群)92名,ストレッチングプロブラム非実施群(CON群)79名とした.SS群は,10ヵ月間,週5回,静的ストレッチングを実施した.ストレッチング取組後,OSDの罹患率について調査をした.OSDの罹患率は,SS群4.3%(4名)であり,CON群13.9%(11名)と比較して有意に少なかった(p<0.05).本研究は,OSDが好発する年齢の時期に下肢を中心とした静的ストレッチングが,OSDの罹患率を低下させOSD発症予防に有効である可能性を示した.

  • 藤高 紘平, 谷口 晃, 小川 宗宏, 齋田 良知, 熊井 司, 田中 康仁
    2020 年 40 巻 1 号 p. 105-109
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
    ジャーナル 認証あり

    目的:大学男子サッカー選手のJones骨折発生に影響を及ぼす環境要素を明らかにする.

    対象と方法:過去14年間に一大学男子サッカーチームに所属した選手のべ444名を対象とした.Jones骨折発生率について,Jones骨折発生時のグラウンドサーフェス,スパイクシューズ,学年との関係を調査した.

    結果:使用年数が経過した人工芝グラウンドのJones骨折発生率が有意に高く,低学年時でのJones骨折発生率が有意に高かった.

    結論:大学男子サッカー選手のJones骨折発生に影響を及ぼす環境要素として,グラウンドサーフェス,学年との関連を認めた.

  • 奥脇 駿, 辰村 正紀, 小川 健, 万本 健生, 平野 篤, 山崎 正志
    2020 年 40 巻 1 号 p. 110-114
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
    ジャーナル 認証あり

    16歳の女性,ソフトボール選手で,腰痛を主訴に当院を受診した.身体所見としては後屈時に腰痛の訴えがあり,明らかな神経根症状は伴っていなかった.CT/MRIで両側L5分離症の偽関節と診断し保存加療を行なったが腰痛が残存し競技復帰できなかったためsmiley face rod変法による分離部修復術を行なった.術後は詳細な画像評価を行ない,骨癒合状態に合わせて段階的な復帰をした.術後6ヵ月で競技へ完全復帰し,術後1年5ヵ月で抜釘術を行なった.詳細な癒合経過をフォローし癒合状態に合わせたリハビリテーションを行なうことで,競技レベルを落とさず復帰をし,良好な成績を収めたと考えられた.

  • 福田 秀明, 小倉 誉大, 浅井 重弘, 高橋 達也, 土屋 明弘, 高橋 謙二
    2020 年 40 巻 1 号 p. 115-118
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/21
    ジャーナル 認証あり

    目的:中間広筋挫傷後血腫に対するウロキナーゼ局所注入吸引療法について報告する.

    対象と方法:2013年4月以降に直達外力により受傷し中間広筋の筋挫傷と診断され超音波(以下echo)検査およびMRIにて筋内血腫を認めた7例(全て男性)を対象とした.echo下で血腫内にウロキナーゼを注入し3日目以降に穿刺吸引した.

    結果:注入時期は受傷後平均14.4日,膝関節可動域完全回復は平均35.1日であり平均37.4日で全症例スポーツ復帰が可となった.

    結語:治療遷延が想定されうる中間広筋挫傷後血腫ではウロキナーゼ局所注入吸引療法は有用な加療の一つになりうる.

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