2020 年 40 巻 1 号 p. 49-54
脛骨・腓骨の疾走型,跳躍型疲労骨折の概念は不明瞭なところがある.純粋な疾走型である陸上長距離選手の脛骨,腓骨の疲労骨折を検討し従来の概念の検証を行なった.脛骨はほとんどが疾走型であった.発生高位は従来近位1/3と遠位1/3に好発するといわれていたが,実際は近位から遠位まで中央1/3を含め広く発生していた.腓骨疲労骨折は跳躍型が近位1/3,疾走型は遠位1/3に好発するといわれてきたが,疾走型でも近位に18%発生していた.遠位例を含め全例骨形成型で難治例はほとんどなく,近位例と遠位例に特徴の差はなかった.腓骨近位例は脛骨の跳躍型とは特徴の異なるもので,腓骨は疾走型・跳躍型の区別は不要と思われた.