2020 年 40 巻 3 号 p. 254-258
目的:pivot shift testにおける不安定性(動的不安定性)の大きい前十字靱帯(ACL)損傷膝に対するACL再建術に追加する前外側支持機構(anterolateral structure;ALS)再建術の有効性をinertial sensorを用いて定量評価することである.
方法:高度な動的不安定性を呈するACL損傷患者33例に対して二重束ACL再建術を施行した群(ACLR群,20例)とACLとALSの同時再建術を施行した群(2R群,13例)に分類し,inertial sensorを用いて術前と術中の動的安定性の定量評価を行なった.
結果:2R群においてACL再建にALS再建を追加することで動的安定性が改善し,また2R群はACLR群よりも術直後の動的安定性が高かった.
結論:高度な動的不安定性を呈するACL損傷膝に対しACL再建術にALS再建術を追加することで膝安定性を改善できる可能性がある.