2021 年 41 巻 2 号 p. 93-98
スポーツにおける坐骨結節裂離骨折に対し,手術加療を施行した2例を経験した.骨盤部裂離骨折では保存加療の報告も多いが,スポーツ復帰に関しては手術が有利とされている.坐骨結節裂離骨折においてはハムストリングの牽引力が強く,偽関節になりやすい.今回は2例ともスポーツ活動性が高く,手術加療を選択した.ともに良好な骨癒合を認め,5ヵ月,9ヵ月でスポーツ復帰した.患者満足度も高く,手術加療は有効であった.筋力改善やスポーツ復帰には有利な一方,装具等の工夫を要するなど後療法は慎重にならざるを得ない.保存加療も一定の良好な成績が報告されていることから,手術適応に関しては個々の症例に合わせた判断が重要であろう.