2023 年 43 巻 2 号 p. 40-43
研究の目的:内側開大式高位脛骨骨切り術(Medial opening wedge high tibial osteotomy; OWHTO)はスポーツ復帰を望む変形性膝関節症(Knee osteoarthritis; OA)患者に対する第一選択の術式として施行されている.一方で術後にスポーツ復帰ができないことや参加するスポーツ強度が低下することも少なくない.術後成績を向上するために,術後にスポーツに復帰できない,或いは,患者満足度を低下させる原因を解明することは不可欠である.そこで今回,現在までに報告されているスポーツ復帰に関するエビデンスとわれわれが行ったスポーツ愛好家におけるOWHTO術後のスポーツ復帰の可否に影響する因子とスポーツ復帰後の患者立脚型評価に影響する因子の検討を紹介する.既報のエビデンスとわれわれの結果では術前一年以内のスポーツへの不参加と術前Tegner activity scoreの高値がスポーツ復帰率の低下と有意に関連していた.また,術後のmedial proximal tibial angleの過度な上昇がスポーツ復帰後の患者立脚型評価の低値と相関していた.スポーツ復帰を希望する患者に対する情報提供や術前計画のためのさらなる知見の積み重ねが必要である.