抄録
脳血管障害患者の表情認知の特異性を表情名から表情画像を選ぶトップダウン情報処理表情認知課題(TDFERT)と,表情画像から表情名を選ぶボトムアップ情報処理表情認知課題(BUFERT)を用いて脳損傷領域別に比較した研究は希少である.本研究は両課題を用いて前頭葉損傷(FS)群,基底核損傷(BS)群,放線冠損傷(CS)群で成績の比較と特異性を調べた.領域間の検討からFS群とBS群はCS群に比べBUFERTの嫌悪と恐怖の成績が低下した.特に嫌悪は課題間の検討から3群ともTDFERTよりBUFERTの成績が低く課題形式により成績が異なる可能性が推察された.一方,喜び表情は3群ともに成績が高く他表情より認知しやすいことが推察された.