抄録
要旨:症例は意味性認知症の利用者で主婦の役割を担っていた.買い物の継続を目的に,作業療法士が介入した.開始時,聴理解,自発話,書字・読字などの言語の障害を認め,言語の理解・表出が困難であったが,買い物は文字で書いたメモを使用して遂行可能であった.そこで介入は,絵を描く作業活動と絵を用いて,買い物に必要な単語の理解や表出を補う練習を行った.また,リハビリテーション(以下,リハ)会議を通して,家族からの情報収集と指導などを行った.その結果,1年後に言語症状の進行は認めたが,絵と文字で書かれたメモを使用して買い物は可能であった.意味性認知症者に対して,作業活動を用いた代償手段の獲得とリハ会議は有効であると考える.