抄録
要旨:今回,幻覚妄想状態で警察官に暴力を振るい,当院の精神科急性期病棟に措置入院となった統合失調症と自閉スペクトラム症を併せ持つ対象者に,筆者は多職種チームの一員として関わった.本介入において,筆者は個別作業療法を通して対象者と関係性を構築し,暴力の制止を試みた.その上で,集団作業療法と統合失調症の心理教育を実施し,自宅退院に繋げた.本介入から,措置入院者への多職種チーム医療に作業療法士が参加することによって,対象者と同等な立場で関わることで関係性を構築し,対象者の特性や大切にする思いといった情報を多職種チームに提供することで,より対象者らしい生活の再開に向けた支援が可能になると考える.