作業療法
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Print ISSN : 0289-4920
実践報告
自閉スペクトラム症の不適応行動に対する支援方略で感覚特性を評価する意義
─2事例における作業療法士の臨床推論や事例の行動変容から─
濱田 匠
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2021 年 40 巻 4 号 p. 457-465

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抄録

要旨:本報告の目的は,自閉スペクトラム症(以下,ASD)児の不適応行動の改善を目的とした作業療法に鑑み,感覚特性を評価する意義を検証することである.発達状態や環境因子が類似し,感覚特性に相違があったASDの2事例を対象とした.作業療法(週1回の頻度で10回実施)で,作業療法士の臨床推論や介入前後の事例の行動変容を分析し,事例間で比較した.その結果,問題点の抽出で,事例Aは感覚調整機能の不全が,事例Bは感覚情報処理に対する配慮の必要性が焦点化された.これらの相違は,目標設定や介入選択の意思決定に関与していた.ASD児の不適応行動に対する支援方略を策定するうえで,感覚特性を評価する必要性が示唆された.

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© 2021 一般社団法人日本作業療法士協会
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