作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
40 巻, 4 号
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巻頭言
学術部報告
総説
  • ─文献レビュー─
    小幡 紘輝, 鈴鴨 よしみ, 宮武 ミドリ, 出江 紳一
    原稿種別: 総説
    2021 年 40 巻 4 号 p. 407-414
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー
    要旨:ロービジョンとは,見えにくいために生活上の困難を生じている状態を総称した概念である.作業療法士によるロービジョンの評価や介入の実践を文献検索にて調査した.システマティックレビュー,ランダム化比較試験などを対象とし,医学中央雑誌とPubMedのデータベースを用いて検索を行い,66件の論文が抽出された.評価には,視機能や運転適性や住環境調査が含まれ,介入には,個別に対応する問題解決戦略や住環境調整やデバイス処方が含まれた.ロービジョンに対する作業療法の効果を調査している研究はまだ少ない.今後,ロービジョンについて作業療法士への啓発を行うとともに,作業療法の効果を科学的に検証していく必要がある.
原著論文
  • ─介入1ヵ月後の上肢機能改善に関する検討─
    前田 正憲, 前川 祐介, 戸谷 祐美, 片井 聡, 務台 均
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 40 巻 4 号 p. 415-423
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー
    要旨:慢性期脳卒中患者に対する2週間の反復性経頭蓋磁気刺激と作業療法による変化を調査した.その結果,介入後1ヵ月の上肢麻痺と生活の中での麻痺側上肢の使用頻度に有意な変化がみられた.介入前から1ヵ月後の臨床的に意義のある最小の変化量に関連する因子は, Fugl-Meyer assessmentでは介入前の麻痺が中等度,左側麻痺,Motor Activity Log-Quality of Movementでは手指の筋緊張が低いことであった.今回の結果から,作業療法を行っていく上で上肢麻痺が中等度で非利き手麻痺の場合はより麻痺の改善に向けた介入方法の比重を増やすこと,また手指の筋緊張の程度に注意を向け,その軽減に向けた介入方法や退院後の指導を行うことが有効である可能性が示唆された.
  • 渡部 喬之, 鈴木 久義, 長島 潤, 嘉部 匡朗, 依田 光正
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 40 巻 4 号 p. 424-430
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー
    要旨:本研究は,脳卒中患者におけるトイレ動作自立判定のためのdual task stepping testの検者間,検者内信頼性を検討することを目的とした.入院中の脳卒中患者20例のdual task stepping testを検者4名(臨床経験:1,2,3,13年目)で評価し,またうち2名(臨床経験:1,13年目)の検者は1週間後に同様の対象者に再評価を行った.その結果から算出されたFleissのκ係数,Cohenのκ係数は高値であり,検者間,検者内ともに高い信頼性が示された.本評価は30秒間で実施できるものであり,脳卒中患者のトイレ動作自立判定を目的に,臨床において普及できる評価であると考える.
  • 池内 克馬, 西田 征治
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 40 巻 4 号 p. 431-438
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー
    要旨:地域や在宅領域でのがん生存者に対する生活の質(以下,QOL)を高めるための効果的な作業療法プログラムの明確化を目的に,システマティックレビューを実施した.Pubmed,EBOSCOhost,医学中央雑誌を用いてQOL改善を目指した作業療法のランダム化比較試験を検索し,包含基準を満たした6論文を採用した.更にCochraneのバイアスリスク改訂版により論文の質を評価した.採用した論文のうち,成果指標に有意な改善を認めた4論文から,がん生存者と専門家やピアが協働するプログラムが参加者の高いモチベーションや日常生活活動能力を維持し,精神的な安らぎを与え,QOL や健康関連 QOL の改善に有用であることが示された.
  • 岩田 祐美, 田島 明子
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 40 巻 4 号 p. 439-448
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー
    要旨:訪問作業療法(以下,訪問OT)での活動・参加の促進は,個々の作業療法士(以下,OTR)が経験から築きあげた実践知に基づいていることが多い.OTRの語りからその実践知を体系化することを目的とし,訪問OT経験5年以上のOTR 9名にそれぞれインタビューを行い,語りを質的に分析した.結果,テーマ1「訪問OTの介入指針を持つ」,テーマ2「介入指針を関係性の文脈に乗せる」,テーマ3「活動・参加に向けた作業を導入する」の3つのテーマが得られた.これらのテーマから訪問OTの実践においては特に,訪問OTの介入指針を持ち,事例とOTRの関係性の文脈を把握したうえで作業を導入する関わりが重要であると考えられた.
実践報告
短報
  • 草野 佑介, 上田 将也, 宮坂 淳介, 南角 学, 松田 秀一
    原稿種別: 短報
    2021 年 40 巻 4 号 p. 543-546
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー
    要旨:本症例はCOVID-19重症肺炎に罹患し,長期の気管内挿管,深い鎮静,長期臥床により重篤なICU-Acquired Weakness(ICU-AW)およびADL低下を認めた.我々はCOVID-19リハビリテーションチームを編成し,感染対策および集中的なリハビリテーションを実施したことで,対象者は病前の生活に復帰することができた.本稿の目的は,COVID-19重症肺炎患者1例に対する急性期の作業療法の経験を報告することである.学際的チームアプローチによる作業療法が,集中治療後症候群の重症化を予防し,対象者の日常生活への復帰に貢献したと考えられた.
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