抄録
回復期リハビリテーション病棟の脳血管疾患183名・運動器疾患82名の認知症患者を対象にBPSDの調査を行った.評価にはNPI-NHを用い,総合計点ならびに下位項目得点を用いて有症率・重症度を入院時・1ヵ月後・退院時点で把握し,経過を確認した.結果,入院時に脳血管疾患44%・運動器疾患29%の割合でBPSDを認め,興奮・易刺激性・夜間行動の有症率が高かった.脳血管疾患は全体の有症率と重症度は有意に改善したが,下位項目別で退院に向け一部悪化を認め,運動器疾患では概ね有意な変化を認めなかった.回復期リハビリテーション病棟では,2疾患の経過の差異を念頭に置いた,BPSDへの作業療法立案の必要性が示唆された.