抄録
頭頸部癌リンパ節郭清後に僧帽筋麻痺が出現した60歳代男性に対し,Eden-Lange変法を用いた肩甲骨制動術後のリハビリテーションを経験した.症例は上肢挙上制限があり,上方リーチを伴う日常生活活動に困難さが生じていた.術後早期からリハビリテーションを行い,術後5ヵ月時点で150°の自動挙上可動域を獲得でき,電球の付け替えなど上肢挙上位での動作が円滑に可能となった.術後2年半時点で170°まで自動挙上可動域は改善した.移行筋の走行を意識した運動に加え,残存筋と連動させた肩甲上腕リズムの再建を促したことで,すみやかな上肢機能・生活機能の改善が得られた.