2024 年 43 巻 2 号 p. 272-279
社会的相互作用を極端に抑制することを特徴とする回避性パーソナリティ障害を有する事例に対して,作業機能障害の種類と評価を用いた面接に基づく作業療法介入を実施した.介入の有効性を単一事例実験研究デザインに基づき,作業療法参加回数および語りの変化,行動の変化を実施前後で調査した.その結果,作業療法参加回数は有意に増加および維持された.また日々の活動に意味を感じられる語りの変化が見られ,日中生活において主体的な行動の拡大に影響を及ぼした.これより,作業機能障害に焦点を当てた面接に基づく作業療法介入は,回避性パーソナリティ障害のあるクライエントの作業活動への参加に対し有効であることが示唆された.