2024 年 43 巻 4 号 p. 540-547
聴覚・精神の重複障害を抱える人は意思疎通の問題から適切な支援を受けられず,地域生活に生きづらさを抱えることがある.今回,精神科病院への入退院を繰り返し,家族や支援関係者から生活能力が乏しいとみられていた統合失調症と聴覚障害を抱えるクライアントに対し,筆者であるOTRが地域生活支援員として作業療法の視点でクライアントを理解し支援を行った.その結果,クライアントが本来持つ生活能力が引き出され,多機関による支援を受けながら希望する生活につなげることができた.統合失調症と聴覚障害の重複障害を抱える人の地域生活支援において作業療法士が関わることの有効性が示唆された.