2024 年 43 巻 4 号 p. 548-555
筆者らは精神科に入院する脳出血後遺症を伴う統合失調症のクライエント(以下,CL)に対し,作業療法介入プロセスモデル(OTIPM)に基づいた作業中心の個別プログラムを実施した.身体機能低下と痛みの増悪に伴い「遂行」から「結びつき」に介入の焦点を移行した.その結果,カナダ作業遂行測定(COPM)の満足度が3.3から6.7,自己効力感評価(GSES)の標準化得点34点から37点,QOL評価(WHOQOL)の平均値2.27から2.31に改善した.これらから,作業遂行が困難となる症例に対し,「結びつき」に焦点を当てた介入は,CLが自分らしく健康的に生活するための有益な方法のひとつであることが示唆された.