2025 年 44 巻 2 号 p. 127-135
本研究は軽度知的障害と発達障害がある若年成人のナラティブより,学齢期に就労に対する意思決定をどのように形成したか明らかにすることを目的とした.就労支援事業所の職員らをインフォーマントとし段階的かつ合目的的に5名の研究参加者を選出し半構造化面接を行った.分析は複線径路等至性アプローチを用いた.研究参加者は必須通過点となる就労経験から就労意思を形成していた.しかし,心情も含め自身で,時間的・因果的につなげ組織化し語るには課題があった.作業療法士はセルフ・ナラティブを支援し,クライエントが作業経験を通した信念・価値観の変容を明確化し,意思決定できるようガイドする必要がある.