脳卒中後遺症者の家事の遂行をドライブする要因,つまり何が家事を突き動かすかを明らかにする目的で,脳卒中後遺症者7名へのインタビューと再帰的テーマティック分析を行った.その結果,〈うまくやりたい〉〈気になってしまう〉〈回復を重ねる〉〈こだわる〉〈自分がやらなければいけない〉の5テーマが生成された.これらのテーマから,研究参加者の家事の遂行が,遂行そのものから受けている意味にドライブされていることがわかった.クライエントを家事に動機付ける先行要因を明らかにする視点も重要だが,家事の遂行が行為者にどのように作用するかに着目する視点の可能性を示す結果であった.