2025 年 44 巻 5 号 p. 545-551
慢性的なうつ症状のために希死念慮が生じ,鎮静薬による急性精神・行動障害を呈したクライエント(以下,CL)を担当した.カナダ作業遂行測定(COPM)にて挙がった「物作り」という作業遂行を活動日記を用いて振り返りつつ,元気回復行動プラン(以下,WRAP)の作成にも取り組んだ.その結果,革細工やクロスステッチという新たな趣味を獲得し,獲得した作業をWRAPに反映させることでCLがより主体的にリカバリーを目指すようになった.活動日記やWRAPの視点を取り入れた作業中心の介入は,CLにとって意味のある作業が精神的健康にもたらす効果を高め,生活を豊かにしていく上での一助となることが示唆された.