抄録
都市の公的空間を拡大する上で重要な役割を担うアトリウムの計画指針作成のための基礎的検討として、歩行動線、滞留空間といった配置計画に関わる事項を中心に歩行・滞留空間としてのアトリウムの利用実態を分析した。歩行動線の分析からは、経路選択には経路長とともに経路幅が重要であることなどを確認した。滞留空間の分析からは、利用主体の条件に応じた計画の必要性および滞留しやすい環境の条件を論じるなど、計画の数字的条件整理に有用と思われるいくつかの知見を得た。アトリウムの公共性を踏まえた歩行・滞留空間の計画指針作成には、空間利用主体の特性と周辺環境の条件までを考慮した分析が必要であり、調査対の拡大とともに今後の課題とされる。