抄録
本研究は、都市計画の構造転換の実相を理論的観点から探究するための基礎研究として、第二次世界大戦後のアメリカを対象に、都市計画に関連するプランニング理論の変遷を考察することを目的とするものである。本研究を通じて、その目的は一元的な公益に適うものとして同定された目標・価値を効果的・効率的に実現する手段を合理的・技術的に意志決定することから、既存の政治経済的構造に関する批判的解釈活動であるとともに変革的活動であるコミュニケーション活動を通じて、多様な利害関係者間における合意形成、社会的諸集団のエンパワーメント、参加者の知的・社会的・政治的資本の増殖等を行うことへと理論的に転換していることが明らかになった。また、プランナーの役割は、政治的に中立的な立場から実証的・定量的な科学的方法に基づいて包括的なプランを案出することから、上記目的の実現を促すファシリテーター、メディエーター、あるいはイネーブラーへと理論的に転換していることが明らかになった。