都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
フェス最初の郊外地アイン・カドゥスの空間的特質から見た整備のあり方と歴史的意義について
松原 康介
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2005 年 40.2 巻 p. 51-62

詳細
抄録

本研究は、モロッコの旧都フェスの最初の郊外地であるアイン・カドゥスの空間的特質を考察して、今後の空間整備の指針を明らかにする。モロッコの郊外地は、 CIAMモロッコ発案・計画による近代的空間と、住民の自発的な住環境形成の結果としての増改築空間から構成されている。実測とヒアリング調査等の現地調査から、以下の3点が指摘できる。 1. 近代的空間は、当初においてモロッコの量産型住宅トラム・エコシャールによって形成された。 2. 増改築空間は、トラムの上階建設と中庭の閉鎖に特徴づけられる。 3. 住民による住環境形成については、商店街は大通り沿いに形成され未だ成熟していないものの、モスクはハブース店舗を併設し、モロッコ独特の都市化の活力を示唆している。増改築は今度のモロッコの都市空間形成において重要な局面であり、モスクの近代空地への挿入や、細街路での商店街形成を、歴史的な建築語彙も参照しながら進めていくことが考えられる。

著者関連情報
© 2005 公益社団法人 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top