都市計画論文集
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40.2 巻
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  • 佐賀県立森林公園をケーススタディとして
    葛 堅, 外尾 一則
    2005 年 40.2 巻 p. 1-7
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、都市公共空間の典型の一つである佐賀県立森林公園を対象にサウンドスケープの調査・分析を行った。まず、サウンドスケープの構成要素とその構造、好感度や合致度などを含める利用者の各要素に対する主観評価を明らかにした。続いて、サウンドスケープの空間形態に注目し、クラスター分析により性格の異なったサウンドスケープの空間ゾーンを分類し、それぞれのゾーンのサウンドスケープの特徴を把握した。さらに、サウンドスケープの構成要素の重要度や公園内のサウンドスケープの外部への影響を周辺住民のアンケート調査で明らかにした。本研究の結果は都市公園のサウンドスケープデザインに有用であるとともに、さらに都市公共空間におけるサウンドスケープを組み入れたトータル・ランドスケープの研究とデザインに対して方向性を与えると考えられる。
  • 新垣 夏彦, 池田 孝之, 小野 尋子
    2005 年 40.2 巻 p. 8-13
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、沖縄のビーチ設計における基準をヒアリング及び資料から整理し( 3章)、沖縄本島のビーチ利用者の陰空間に対する調査を行い( 4章)、ビーチにおける陰空間への量的・デザイン的意向とその空間実態から考察( 5章)する事により、ビーチにおける陰空間のあり方を考察する( 6章)ことを目的としている。研究の結果として、ビーチの陰空間の追加整備を欲するか否かは人の属性や利用目的よりも、天然ビーチであるか、人工ビーチであるかという、ビーチの属性の違いが陰空間への希求に強く繋がることが明らかになった。また、人工ビーチでの陰空間の整備の方向性では、人工ビーチは(1)常設陰空間の海からの距離が遠い、(2)陰空間増加を必要と感じている人が多い、(3)利用者の求める領域に常設陰空間がないということから、今後、人工ビーチの整備をする際は、「相互認識域」、「識別域」等利用者の求める領域内での陰空間形成を考慮した計画が必要である事が分かった。
  • 「大中院文書」における微視的景観の復原
    早見 洋平, 土本 俊和
    2005 年 40.2 巻 p. 14-24
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本論は、天正 15年・京都の微視的景観の復原を通じて、歴史的都市における高密度化の過程を捕捉した。街区の細分化の程度やたて込みの程度にばらつきがある、多様な景観を復原的に得た。通時的な傾向として、漸進的に高密化が進行していく過程が見通された。個々の場所による多様性は、この高密化の進行過程における諸段階の違いである。まず、ある疎らな場所でたて込みが増強する。たて込んだ《物》に対する権原が、その設置場所である土地にもおよぶ。たて込みは土地の細分化を促す。細分化された土地の面的な広がりが都市域の形成である。つまり、都市は家々が《物》を増やしていくことによって密度を高め、面積を広げていった。すなわち、この高密化の起点として、家があった。本論は、歴史的な都市域の形成の核として、家を見出した。
  • アジア経済危機後の住宅政策に着目して
    斉藤 憲晃
    2005 年 40.2 巻 p. 25-32
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    1997年のアジア経済危機を契機に、それまでインドネシア住宅供給政策における公的支援措置の柱であった、 RS/RSSと称される政府規格型簡易住宅に対する長期固定低利融資制度は抜本的に変更された。 RS/RSSに対する融資制度については、以前より世界銀行などの援助機関から、実態として低所得者に対する援助として十分に機能していないにもかかわらず政府の住宅リソースにおけるシェアが高いこと、一般金融市場と切り離されたシステムになっており非効率であること、などの批判があった。本稿は、インドネシア政府がこのような批判に対してどのように対応したかについて、その背景、経緯を、これまでの政府の住宅政策に関する基本的スタンスとの関係から考察しようとするものである。
  • 横浜市における住宅敷地面積の変化分析を中心として
    林田 康孝
    2005 年 40.2 巻 p. 33-38
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    平成 4年の都市計画法及び建築基準法の改正で用途地域による一般規制として初めて敷地規模規制が法制度化され、 14年改正で全ての用途地域において敷地規模規制を定めることが可能となった。本研究では、平成 8年に敷地規模規制を定めた横浜市の状況を中心に、建築確認及び住宅統計調査データを用いて、規制導入前後の戸建住宅の敷地面積等の変化を分析することにより規制の直接的効果の検証を試みた。分析の結果、敷地規模規制導入後に規制値未満の面積の敷地が明らかに減少し、規制値をやや上回る面積の敷地が大幅に増加するなど、規制導入による直接的な効果が裏付けられた。また住調データは、用途地域や指定容積率などの情報を含んでおり、自治体間の比較も容易にできる点で、建築確認データよりも有用であり、得られる結果も建築確認データと比べて遜色ないことが示された。
  • 〓米力 肖開提, 中村 攻, 木下 勇, 鳥井 幸恵
    2005 年 40.2 巻 p. 39-44
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、最近 10年間における中国の子どもの遊びと遊び環境の変容を明らかにするものであり、今後の中国の都市における子どもの遊び環境の向上に向けての幾つかの指針を得ることを目的としている。近年、中国国内において最も急速に都市化が進行している北京市既成市街地において、 1994年に行った日中の研究者との共同調査の対象地区の一つである北京市既成市街地にある小学校校区を調査対象とした。 1994年に行った調査を踏襲し、まず 10年間における子どもの生活の変化を把握し、それを踏まえた上で 1994年と今回行った調査( 2003年実施)の両結果を用いて比較分析を行った。その結果、生活に占める遊び時間の割合の減少やその遊び集団の年齢構成の変化、また、市街地変容(住宅地の再開発や道路の大幅な拡幅等)に伴って遊び内容の季節毎の特徴が少なくなり通年化が進んでいると共に全体の遊びの種類も減少している等の大きな変化がみられた。
  • 大橋 昭宏, 青木 孝義, 小浜 芳朗
    2005 年 40.2 巻 p. 45-50
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は高速道路の IC勢力圏域について,簡便かつ実践的な解析モデルを構築し,その勢力圏域の現実に対する評価と料金設定等による制御の基礎を作ることを目的としている。高速道路利用者の費用最小化問題として,車両の運転者・同乗者が有する時間価値,車両の走行経費,高速道路料金等を簡便な数理モデルで表し, IC勢力圏域について乗用車類・貨物車類別,上り・下り方面別に面的に勢力圏域を求める手法を提案した。現在供用中の東名高速道路の愛知県と静岡県内に位置する ICについて,本モデルによる解析結果と現状の利用圏域の比較を行った結果,一般道路が均一に整備されている範囲において,現状の利用圏域をモデル化できていると考えられるが,他の高速道路ネットワーク状況や幹線道路の整備状況, IC勢力圏域内の車両発生台数を検証するための地域特性等を加味することで,本モデルの推定精度の向上が可能である。
  • 松原 康介
    2005 年 40.2 巻 p. 51-62
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、モロッコの旧都フェスの最初の郊外地であるアイン・カドゥスの空間的特質を考察して、今後の空間整備の指針を明らかにする。モロッコの郊外地は、 CIAMモロッコ発案・計画による近代的空間と、住民の自発的な住環境形成の結果としての増改築空間から構成されている。実測とヒアリング調査等の現地調査から、以下の3点が指摘できる。 1. 近代的空間は、当初においてモロッコの量産型住宅トラム・エコシャールによって形成された。 2. 増改築空間は、トラムの上階建設と中庭の閉鎖に特徴づけられる。 3. 住民による住環境形成については、商店街は大通り沿いに形成され未だ成熟していないものの、モスクはハブース店舗を併設し、モロッコ独特の都市化の活力を示唆している。増改築は今度のモロッコの都市空間形成において重要な局面であり、モスクの近代空地への挿入や、細街路での商店街形成を、歴史的な建築語彙も参照しながら進めていくことが考えられる。
  • 稲葉 佳子
    2005 年 40.2 巻 p. 63-70
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    外国人が日本で住宅を借りようとするとき、多くの困難にぶつかる。外国人の民間賃貸住宅入居を支援するためには、 1)信頼できる保証人の確保、 2)入居後のトラブル防止、 3)トラブルに対応できる体制の整備、が重要である。近年、 1)、2)、3)に対応する支援策として、「川崎市居住支援制度」『外国人の居住安定のためのガイドライン』「かながわ外国人すまいサポートセンター」が整備された。しかしこれらにより、総ての問題が解決されたわけではない。今後は、公的な家賃保証制度の整備、不動産業者や家主への支援策の周知と普及、複合的な相談(ドメスティックバイオレンス等)に対応するための福祉など他分野との連携による取り組み、さらに、 1)、2)、3)のフルセット型で総合的に支援策を提供していくことが重要である。
  • コネチカット州公務員テレワーカー居住自治体を対象として
    河井 容子
    2005 年 40.2 巻 p. 71-79
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    米国で増加するテレワーカーの居住地特性については、都心からの距離という視点からしか捉えられてきていない。そこで本研究では、コネチカット州公務員テレワーカーの居住する 103自治体を対象として、その近隣属性 8項目(人口、人種、居住者学歴など)の統計分析を行い、州公務員テレワーカー居住地に特有の近隣属性の傾向があること、及びその具体的な傾向を明らかにした。州公務員テレワーカーは共通して、人口規模が大きく、大卒率が 20~30%の自治体に住む傾向があった。この他の属性について、長距離・短距離テレワーカーは異なる傾向を見せ、前者では白人率がやや高い自治体に居住し、後者では白人率がやや低く、住宅価値・教育基準が高い自治体に住む傾向があった。更にこの結果への論考によって、テレワーク影響下では、単純な居住地拡散は起こらないこと、通勤距離による居住地傾向の差は、テレワーカーの社会経済属性の違いによることを明らかにした。
  • 田 偉利, 川上 洋司
    2005 年 40.2 巻 p. 80-87
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、中国の 212都市を対象として、土地使用権の流動性と都市特性との関連性を明らかにした上で、地域の状況に応じた今後の土地利用管理政策についての方向性を提示することを目的としたものである。先ず、 1949年から現在までの中国の土地利用制度と土地管理政策を整理し、五つの時期に分け、各時期の特徴を明らかにする。次に、対象都市の都市経済指標と土地利用指標を用いて、主成分分析 /クラスター分析を行い、 7グループに類型し、各グループの経済発展レベルと都市化レベルの対応関係及び特徴を明らかにする。最後に、類型ごとの都市特性と土地使用権の転換状況の関係を比較分析・考察し、その結果に基づいて、類型ごとの今後の土地利用管理政策の方向性を提示している。
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