米国で増加するテレワーカーの居住地特性については、都心からの距離という視点からしか捉えられてきていない。そこで本研究では、コネチカット州公務員テレワーカーの居住する 103自治体を対象として、その近隣属性 8項目(人口、人種、居住者学歴など)の統計分析を行い、州公務員テレワーカー居住地に特有の近隣属性の傾向があること、及びその具体的な傾向を明らかにした。州公務員テレワーカーは共通して、人口規模が大きく、大卒率が 20~30%の自治体に住む傾向があった。この他の属性について、長距離・短距離テレワーカーは異なる傾向を見せ、前者では白人率がやや高い自治体に居住し、後者では白人率がやや低く、住宅価値・教育基準が高い自治体に住む傾向があった。更にこの結果への論考によって、テレワーク影響下では、単純な居住地拡散は起こらないこと、通勤距離による居住地傾向の差は、テレワーカーの社会経済属性の違いによることを明らかにした。