抄録
近年、燃料電池自動車の燃料供給インフラとして、水素ステーションの開発および実証試験が盛んに進められている。燃料電池車の導入初期段階には、水素供給インフラの整備を加速させるため、自動車だけでなく住宅や商業施設等へ水素を供給するエネルギー供給システムが有効であると考えられる。本論では、エネルギー供給元が一元化した都市構造における定量的なフィジビリティ・スタディを行なうために、ある一定の燃料電池自動車および純水素燃料電池を設置した住宅へ、水素を同時に供給するモデルにおいて、各種エネルギー需要データおよび効率の実プラントデータを用いて、エネルギー消費量削減および二酸化炭素排出削減効果に関する検討を行なった。検討結果よりエネルギー負荷および環境負荷の低減の観点から、水素供給インフラには自動車だけでなく、住宅にも水素を供給するシステムが有効であることが明らかになった。