抄録
移動に様々な制約を受ける車椅子使用者について、特に移送サービス(STS)である那覇市社会福祉協議会の「うまんちゅ号」利用者を対象に交通行動の実態とその柔軟性に関する実態調査を行った。交通行動の柔軟性とは、随時決定した交通行動や予定変更、そして不足の状況に対応できる条件のもとでの交通行動を指す概念である。車椅子使用者は、事前に計画された目的トリップが交通行動の中心となる傾向があるが、計画的目的トップの組み合わせの中に、随時決定した目的トリップを付加することで交通行動に柔軟性をもたらそうとするパターンを発見できた。交通行動全体を柔軟に組み合わせて予定変更を繰り返すパターンは少数事例として見いだされたが、今後はこのような形も含めて多様な交通手段の連続性が確保されることが課題となる。交通手段としては、STSが計画的で生活の基盤をなす交通行動の手段として使われ、モノレールが自由で柔軟な交通行動に使われる傾向が強いが、各手段は複合されて利用されるものであり、トータルな交通手段の体系によって柔軟性が確保されるものと考えられる。