都市計画論文集
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市民意識調査にみる都市のウォーキングコースのあり方に関する課題
杉浦 裕二坂本 淳二
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2006 年 41.3 巻 p. 1001-1006

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抄録
本論文は,若年層にとってのウォーキング活動の阻害要因を抽出,若年層でも実践可能なルートや実践方法を検討し,市民の健康増進や都市環境の健全維持にとっても有益で効果的なウォーキングコースの整備に関する課題について考察する.分析においては,日本の一般的な地方都市である静岡県袋井市と愛知県蒲郡市を対象に,両市の実施した市民対象の健康意識調査結果を利用した.結果として以下の傾向・課題が明らかとなった.1)ウォーキングの参加度から,60歳代を中心核とする積極的参加グループと30歳代を中心とする非参加グループという2極構造が存在する.2)非参加グループのウォーキング参加への阻害要因として,時間がないという個人的な条件とともに,経路の安全性が問題視されている.3)高齢者ではウォーキング中の生理現象をカバーする空間整備がウォーキング促進の課題となる.さらに若年層がウォーキングに参加するためには,「子どもと一緒でも困らない,「一人でも危険性を感じない」ことを基調として,歩くことに対しての意味づけが必要となることが明らかとなった.
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© 2006 公益社団法人 日本都市計画学会
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