都市計画論文集
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地方都市郊外部における世帯の自動車利用行動の効率性診断
桑野 将司藤原 章正張 峻屹
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 41.3 巻 p. 157-162

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抄録

本研究では,公共交通の整備の遅れ,サービス水準の低さなどの問題により自動車交通への依存率が高い地方都市を対象に,世帯の自動車保有・利用行動の把握,および交通システムや土地利用といった都市特性を考慮した世帯の自動車利用の効率性の診断を行うことを目的としている.ここで効率性とは,現在の自動車利用と市場で実現しているなかで最も効率的と判断される状態との乖離度合いを言う.これにより,各世帯が論理上の効率的な自動車利用を行った際の自動車排出ガス削減ポテンシャルの算出が可能となり,環境負荷の小さい都市を実現するための政策オプションの検討に貢献するものと考えられる.地方都市の郊外部である東広島市志和町を対象に,世帯の自動車利用の効率性を計測した結果,調査対象地域での自動車利用効率性は平均で86%であることが明らかとなった.これは,1世帯あたり年間で2,802kmの自動車利用の削減が可能であることを意味する.また,当該調査地域で居住した場合,最低でも1世帯あたり17,000km程度は日常の生活において自動車利用は必要であることが明らかとなった.

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© 2006 公益社団法人 日本都市計画学会
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