2006 年 41.3 巻 p. 271-276
日本においては、大規模商業施設の郊外立地などにより中心市街地の商業機能などが衰退しているため、多くの都市において様々な都心再生政策が実施されてきている。しかし、都市システムに内在する不確実性と複雑性のため、大規模商業開発や都心再生政策の影響を評価することが難しい。本研究は、マルチエージェントシステム(MAS)を用いて、商業施設の立地に対する規制誘導政策を評価することを試みた。具体的には、商業施設の立地と世帯の購買行動を反映することができるシミュレーション・モデルとして、Shopsim-MASモデルを開発した。このモデルを用いて、商業施設の立地に対する規制誘導施策に対応して、都市圏における世帯の買い物行動をシミュレーションすることにより、商店と世帯の相互作用から発生した買物行動について予測することができ、政策の影響を示し、評価すことができる。