抄録
本研究は、長野県の松本都市圏を対象に、都市圏一体で整合性が図られた土地利用規制の必要性について論じている。特に市町村合併によって同一自治体に異なる土地利用規制が存在しており、実情にあった土地利用規制のあり方を提示することが求められている。松本都市圏では、区域区分を行っている松本市から周辺の緩規制地域の町村に開発が流れている実態があることを明らかにした。また周辺自治体は新規に都市計画区域や用途地域を指定したり、自治体独自の取り組みによって土地利用コントロールを図っているが、都市圏の土地利用規制の乖離を解消するには至っていないことを指摘した。松本都市圏では、より整合性のある土地利用規制が求められる。特に市町村合併によって誕生した新松本市にとっては、整合性のある土地利用規制の実現がいっそう求められる。